過去のまちなかセミナー2019年度

※このセミナーは終了しています

2003年度より、北陸地区の国立大学が連携して、富山・石川・福井の各県にて「まちなかセミナー」を実施しています。各県の会場にて、他県所在の国立大学教員を招聘し、幅広く多彩な学術内容の普及につとめます。

2019年度まちなかセミナー富山会場では、

「北陸の文学を読む」

というテーマを予定しております。詳細については、PDF書類または下記講演内容をご覧下さい。まちなかセミナー富山会場は入場無料、事前申込不要でどなたでもご参加いただけます。参加ご希望の方はセミナー当日、直接会場の受付までお越しください。どうぞお気軽にご参加ください。

日時と場所

■日時:2019年12月8日(日)13:30~16:30
■場所:富山駅前 CiCビル3F学習室

コーディネータ

西田谷 洋 先生(富山大学人間発達科学部・教授)

講師と題目・概要

鈴木 暁世 先生(金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系・准教授)

演題
「文学作品はどのように書きかえ/読みかえられたか:室生犀星『あにいもうと』をめぐって」

講演要旨:
小説『あにいもうと』は、明治22年に金沢に生まれた室生犀星の代表作のひとつです。巷に生きる人間の持つ生命力を、激しく迸るような生き生きとした文体で描きだして新境地をひらいたこの作品は、幾度も映画化、舞台化、ドラマ化されてきました。今回は、本作品が映画やドラマにされたことによって、どのように書きかえ/読みかえられていったのかを辿ることで、文学作品が時代によってどのように翻案・改作され、その際に起きる変化はどのような意味を持つのか考えていきます。

杉山 欣也 先生(金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系・教授)

演題
「三島由紀夫「美しい星」の金沢・内灘」

講演要旨:
三島由紀夫「美しい星」は三島には珍しいSF風小説として知られる長編で、2016年に映画化もされた作品です。「美しい星」では主要登場人物が金沢を訪れ、内灘砂丘でUFOに遭遇するという場面があります。しかもその個所は「美しい星」一編においてきわめて重要な個所でもあります。なぜこれらの地が舞台に選ばれ、どのように書かれ、作中でどのような意味をもっているかについて解き明かしていきます。

西田谷 洋 先生(富山大学人間発達科学部・教授)

演題
「らしさを生きる/らしさに抗うー山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』・『あたしたちよくやってる』をめぐって」

講演要旨:
富山出身の小説家・山内マリコは、東京やパリでの女性の生を描く小説も描きますが、『ここは退屈迎えに来て』と『メガネと放蕩娘』など、富山の閉塞感とそこからの再生の可能性の物語で知られています。この講演では、彼女の最新作『選んだ孤独はよい孤独』『あたしたちよくやっている』を中心に、地方都市で生きること、女らしく/自分らしくあるとはどういうことなのか、探っていきます。